トップ > 黒い「本物」のピアノとの思い出

電子ピアノを弾かなくなった

電子ピアノ

投稿者 : モノさん(女性)

私が小学生の頃、家を新築すると同時に、黒いいわゆる本物のピアノを売却し、電子ピアノに買い換えました。

がっしりとした体つきのお兄さんたちに、重たいピアノが運び出されていくときは、さみしさと同時になんだか不思議な気持ちになったことを覚えています。

その後我が家へやってきた電子ピアノはヘッドフォンを装着すれば24時間いつでも演奏することができ、音色をカスタマイズすることもできる優れものでした。

ボタン一つでお手本まで弾いてくれる機能もあり、家にやってきた当初は驚きの連続でした。しかし、今ではめっきり弾いていません。

黒いピアノは、蓋をあけるのも重く、幼い私はよく手を挟んで泣いていた記憶があります。赤いほこりよけの布をかけ忘れては、母に叱られていました。

それにもかかわらず、黒いピアノが家にあった時の方が、よくピアノを弾いていたなと感じます。

限られた時間に、「さあピアノを弾くぞ」と意気込んで準備するその行為そのものが、何か特別な気がして楽しかったんだろうなと今思えば感じる次第です。

また、心のどこかで誰かに聞いてもらいたいという欲望があり、ヘッドフォンの中で演奏することに楽しみを見出すのが難しかったのかもしれません。

もちろん、私自身が成長し、ピアノを弾くような時間を確保すること自体が難しくなったことも、電子ピアノ離れの大きな理由ですが、やはり幼いながらも「本物」のよさをどこかで感じていたのかもしれないなと思います。

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